大正時代の朝日新聞の面白そうな記事があったので資料としてご紹介します。
(漢字は当時のものだと読めない方がいると思われるため、現代の漢字に直しています)
朝日標語入選発表 応募数十万八千二百八十三句
標語は……成るべく簡単なものでありたいこと、誰にでも分り易い一般的の文句でありたいこと、誰にでも言い易い滑らかな調子でありたいこと……といったやうな事の、重要な要素であることは勿論でありますが、飽くまで独創的であること、言ひかへると模倣的でない、一種の「標語型」に堕ちていない、といふことがこの選を取扱ふに当たって重大な目標になったことを最初にお断りして置きます。事実今度の応募標語を取扱って感じたことは、全く同じ文句や、殆ど(ほとんど)同じやうな文句が千篇一律的に目に触れたことでした。そこで幾度か予選の結果、百二十余の優秀句を選び、厳選の結果左記十三句を得ました。A三句は兎に角(とにかく)としてB十句を選ぶに当たっては殆ど甲乙ない佳句の少からずあったことを付け加えて置きます。
A三句(金杯並びに賞金五十円)
あけて輝く朝日のページ
旭おがんで「朝日」を読んで、今日の仕事に掛りませう
旭日は万象を照し、新聞朝日は万邦に輝く
B十句(銀杯)
朝日一枚宇宙の鏡
太陽は万象を照らし、「朝日」は万人を啓らく(ひらく)
太陽は光を憎まず、新聞朝日は努力を忘れず
太陽は恵みの王、「朝日」は新聞の王
チョット新聞、ハイ「朝日」
一字千金朝日新聞
朝日のはいる 家庭はいつも明るい
その日その日は朝日に始まる
今読め、すぐ読め、朝日新聞
蝿を捕れ、鼠(ねずみ)を捕れ、朝日新聞を取れ
まだテレビは発明されておらず、マスメディアと言えば新聞か雑誌だった時代感が感じられます。これらの句を詠んだのであろう江戸時代生れ・明治生れの方々が、令和の時代の朝日新聞を見たらどう思うのか?いろいろと妄想してしまいます。