よど号グループが北朝鮮で毎朝行っていた宣誓儀式「十の誓い」(『謝罪します』八尾恵・著より)

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『謝罪します』八尾恵・著(文藝春秋社、2002)

謝罪します
謝罪します

第3章 169頁~172頁 より抜粋

「十の誓い」

北朝鮮で、「よど号」グループは「自主革命党創建準備委員会」という組織を作り、朝鮮労働党の中の一つの部署で、金正日の直属である連絡部五六化が組織を指導していました。

自主革命党創建準備委員会は、金日成の教示により、日本革命の前衛党と信任された党で、田宮は、その最高指導者に任命され、党内の唯一指導体制の確立をめざしました。自主革命党創建準備委員会は金日成主義を唯一の思想とし、党内の思想、意思の統一と団結が何よりも重んじられました。党員は金日成主義による日本革命の指導思想、指導理論、党の政策と路線で武装することが義務付けられました。「よど号」グループは金日成の教示が日本革命の戦略・戦術的問題を全面的に明らかにしたものと位置づけていました。

日本で金日成主義革命を起こすために、日本で党を創建し、その党の勢力を強化、拡大していく必要がありました。党の指導的中核となる人材の発掘、獲得、育成の活動は、金日成の教示を実現していくための何よりも切実な問題として、打ち出されたのでした。

自主革命党創建準備委員会の委員長は田宮高麿、副委員長は小西隆裕、中央委員は男性全員。中央委員の中で、組織部長が赤木志郎、宣伝部長が田中義三でした。

当初女性達は女性組織を作り、自主革命党創建準備委員会の周辺で活動する形をとっていました。教育期間が終わる七八年か七九年頃に女性は一斉に党員になりました。

女性達は、幹部である男性達の下に一般党員として位置づけられました。

党員はお金を納め、党の綱領に対して全面的に支持する必要があり、党の規約を守る義務を受け入れる誓約書を書かされます。党員になったからといって生活や仕事が変わるわけではありませんでした。党員は党から与えられる課題や任務を遂行します。

朝鮮労働党に「細胞」という組織があり、革命村でも倣(なら)って、細胞を作りました。細胞は組織生活の最小単位で、構成人数は、二、三人から五人まででその時の事情によって変わりました。細胞には細胞長がおり、田中や若林は私が属した細胞の細胞長だったことがありました。

構成員は細胞長に朝起きてから寝るまでの一週間の計画を、提出しなければばらず、提出するときに、個別の談話や組織生活指導を受けました。

党員になる前から私達は、毎朝、事務所に集まり、会議室で宣誓という儀式を行いました。宣誓は、「十の誓い」と田宮が声を張り上げて読み上げるのを皆が復唱しました。順番は不確かですが、今でも大体は覚えています。

一、我々日本革命家は、偉大な首領金日成同志の革命思想で日本を金日成主義化するため青春も生命も捧げて闘うことを誓います。

ニ、我々日本革命家は、偉大な首領金日成同志と親愛なる指導者金正日同志を忠誠の一心を持って高く仰ぎ戴くことを誓います。

三、我々日本革命家は、偉大な首領金日成同志の権威と威信を絶対化し、首領様を擁護、防衛するために親衛隊、突撃隊、決死隊になることを誓います。

四、我々日本革命家は、偉大な首領金日成同志の革命思想を信念化し、首領様の教示を信条化し日本革命勝利のため、社会主義・共産主義異形のため最後の血の一滴まで捧げて闘うことを誓います。

五、我々日本革命家は、偉大な首領金日成同志の教示と親愛なる指導者金正日同志の教えを無条件、徹底して遂行し、任務を貫徹することを誓います。

六、我々日本革命家は、日本革命の指導者である田宮同志を中心とする全党の思想的意思統一と、革命的団結を強化することを誓います。

七、我々日本革命家は、偉大な首領金日成同志と親愛なる指導者金正日同志に学び、共産主義的風貌と革命的活動方法、人民的活動作風を所有、体得していくことを誓います。

八、我々日本革命家は、偉大な首領金日成同志と親愛なる指導者金正日同志から授かった政治的生命を大切に守り、首領様の高い政治的信任と配慮に高い政治的自覚によって、忠誠心で応えていくことを誓います。

九、我々日本革命家は、偉大な首領金日成同志と親愛なる指導者金正日同志の唯一的指導の下に、組織の秘密を命懸けで守りながら活動することを誓います。

十、我々日本革命家は、偉大な首領金日成同士の導きの下、日本革命の偉業を代を継いで最後まで継承し完成させていくことを誓います。

 

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